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青森地方裁判所 昭和51年(わ)69号 判決 1977年2月16日

本店所在地

青森県弘前市大字城東中央二丁目四番地七号

東北地所有限会社

右代表者・代表取締役

長内正英

本籍並びに住居

同県同市大字小比内字橋元一九番地二号

会社役員

長内正英

昭和七年七月四日生

本籍並びに住居

同県同市大字城東中央四丁目四番地の一〇

会社役員

丹藤忠勝

昭和一二年二月一八日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官葛西和民出席のうえ審理して、次のとおり判決する。

主文

被告会社を罰金八〇〇万円に、

被告人長内正英・同丹藤忠勝を各懲役一〇月に

それぞれ処する。

この裁判確定の日から、被告人長内正英・同丹藤忠勝両名に対し、いずれも三年間それぞれその刑の執行を猶予する。

訴訟費用中、国選弁護人に対し昭和五一年一〇月七日・一〇月二一日及び一二月八日に各支給決定をした分は被告会社と被告人長内正英との、同年七月二六日及び九月八日に各支給決定をした分は被告会社・被告人長内正英及び同丹藤忠勝らの、いずれも連帯負担とし、同年九月一一日に支給決定をした分は被告人丹藤忠勝の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、昭和四三年八月三日宅地の開発及び造成並びに不動産の売買・斡旋及び仲介等を営業の目的として資本金三〇〇万円で設立されたもの、被告人長内正英は設立の当初から右被告会社の代表取締役社長の地位にあって同会社の業務全般を統括していたもの、被告人丹藤忠勝は昭和四四年五月同会社に入社し、その後取締役、代表取締役専務を経て同会社の経理事務等を担当していたものであるが、被告人長内正英・同丹藤忠勝両名は、共謀のうえ、被告会社が多額の法人税を納付するときはその経営が困難になることをおそれ、不正の手段により法人税を免れようと企て、

第一  公表経理上、期末たな卸商品の一部を除外する行為により所得を秘匿したうえ、昭和四七年四月一日から昭和四八年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三六、八一六、八四一円であったのにかかわらず、昭和四八年五月三一日弘前市大字本町二番二号所在弘前税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、九六六、八四一円でこれに対する法人税額が一、一三五、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一三、二〇七、五〇〇円と右申告税額との差額一二、〇七二、四〇〇円を免れ、

第二  公表経理上、売上の一部を除外し、売上代金の入金を借入金と仮装し、架空仲介料を計上する行為により所得を秘匿したうえ、昭和四八年四月一日から昭和四九年三月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一四四、七九六、九五〇円であったのにかかわらず、昭和四九年五月三一日前記弘前税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八三、八三〇、〇四七円でこれに対する法人税額(留保金に対する税額は含まない)が、二九、六一一、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額五一、五四〇、六〇〇円と右申告税額との差額二一、九二九、一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一、被告人長内正英及び同丹藤忠勝の当公判廷における各供述

一、被告人長内正英(二通)及び同丹藤忠勝(昭和五一年五月二一日付・五月二七日付)の検察官に対する各供述調書

一、大蔵事務官の被告人長内正英(昭和五〇年一一月一五日付)及び同丹藤忠勝(同年九月二二日付・一〇月一日付)に対する各質問てん末書

判示冒頭の事実について

一、大蔵事務官の被告人長内正英(昭和五〇年九月一八日付)及び同丹藤忠勝(同年九月一七日付)に対する各質問てん末書

一、登記官作成の登記簿謄本

判示第一及び第二の両事実について

一、鈴木健司及び竹内昭一の検察官に対する各供述調書

一、大蔵事務官の竹内昭一に対する昭和五〇年一〇月三日付質問てん末書

一、被告人丹藤忠勝及び竹内昭一両名作成の上申書(七枚綴)

一、大蔵事務官作成の商品たな卸高調査書

一、押収してある棚卸表一枚(昭和五一年押第四三号の一)及び物件在庫残高調書一綴(同号の二)

判示第一の事実について

一、被告人丹藤忠勝の検察官に対する昭和五一年五月一四日付A供述調書

一、大蔵事務官の被告人長内正英(昭和五〇年九月二一日付)及び同丹藤忠勝(同年同月一八日付)に対する各質問てん末書

一、大蔵事務官の鈴木健司に対する昭和五〇年九月一九日付質問てん末書

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和四七年四月一日~同四八年三月三一日分)

一、押収してある総勘定元帳一綴(昭和五一年押第四三号の七)及び昭和四七年四月一日~昭和四八年三月三一日事業年度分法人税の確定申告書一綴(同号の二二)

判示第二の事実について

一、被告人丹藤忠勝の検察官に対する昭和五一年五月一二日付・五月一四日付B供述調書

一、大蔵事務官の被告人長内正英(昭和五〇年九月一九日付・九月二〇日付・一一月一一日付・一一月一三日付・一二月一七日付・昭和五一年一月一六日付・三月一七日付)及び同丹藤忠勝(昭和五〇年九月二一日付・一一月一一日付・一一月一二日付・一二月一〇日付・昭和五一年一月一六日付・三月五日付)に対する各質問てん末書

一、佐藤新八郎・菊地正英・奈良哲男及び長内茂の検察官に対する各供述調書

一、大蔵事務官の鈴木健司(昭和五〇年九月二〇日付・一一月一三日付)・佐藤新八郎(同年九月二二日付・九月三〇日付・一一月一二日付・昭和五一年三月二日付二通)・菊地正英・長内茂(二通)及び竹内昭一(昭和五〇年一一月一三日付)に対する各質問てん末書

一、被告人丹藤忠勝及び竹内昭一両名作成の上申書(三枚綴)

一、大蔵事務官作成の「三億二千万円の決算方法等調」と題する書面・簿外預金等調査書・未納事業税額計算書及び脱税額計算書(昭和四八年四月一日~同四九年三月三一日分)

一、奈良哲夫作成の上申書

一、押収してある不動産売買契約証書一綴(昭和五一年押第四三号の三)・振替伝票綴二綴(同号の四・六)・総勘定元帳一綴(同号の八)・決算報告書関係綴一綴(同号の九)・不動産売買契約証書ほか一綴(同号の一一)・開発センター売渡資料一袋(同号の一二)・売買契約書綴(仕入)一綴(同号の一三)・領収書綴一綴(同号の一四)・議事録関係一綴(同号の一五)・売買関係書類一袋(同号の一八)・買掛金整理簿一綴(同号の一九)及び昭和四八年四月一日~昭和四九年三月三一日事業年度分法人税の確定申告書一綴(同号の二三)

(法令の適用)

被告人長内正英及び同丹藤忠勝両名の判示第一及び第二の各所為はいずれも刑法六〇条・法人税法一五九条一項に該当し、同被告人両名の右犯行は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社に対し同法一六四条一項(一五九条一項)を適用し、被告人長内正英及び同丹藤忠勝両名の各罪については所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人長内正英及び同丹藤忠勝両名については同法四七条本文・一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑にそれぞれ法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人両名を各懲役一〇月に、被告会社については同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金八〇〇万円にそれぞれ処し、被告人長内正英及び同丹藤忠勝両名に対しては、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間それぞれその刑の執行を猶予することとし、なお、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文・一八二条を適用して、国選弁護人に対し昭和五一年一〇月七日・一〇月二一日及び一二月八日に各支給決定をした分は被告会社と被告人長内正英との、同年七月二六日及び九月八日に各支給決定をした分は被告会社・被告人長内正英及び同丹藤忠勝らのいずれも連帯負担とし、同年九月一一日に支給決定をした分は被告人丹藤忠勝の負担とする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 山之内一夫 裁判官 平良木登規男 裁判官 井上稔)

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